千代田区の災害リスクとは?洪水・地盤関連のハザードマップなどを解説

2024年01月16日

千代田区・丸の内・大手町エリアほか

東京駅・丸の内ビジネス街

千代田区のハザードマップ|災害の種類・リスクの高い場所などを確認

千代田区は、中央部に皇居がある東京の中心エリアです。政治の中心である永田町・霞が関エリアや、ビジネスの中心である丸の内・大手町エリアを抱えており、中央区、港区とともに「都心3区」と呼ばれています。 区内の世帯数は約37,000と23区の中でも少なく、8割以上の世帯が共同住宅(アパートやマンション)に住んでいることも千代田区の特徴です。 昼間人口が多いことから、地震などの災害発生時には最大で約60万人の帰宅困難者が発生すると想定されています。 千代田区は風水害および土砂災害のハザードマップを一冊のリーフレットとして作成し、配布しています。災害発生時の避難所の場所や、行動フローなども掲載されている防災マニュアルともいえる一冊です。 以下のURLで閲覧することもできるので、区民だけではなく、就業・就学で千代田区を訪れる人も事前に確認をしておきましょう。

風水害(洪水・高潮)ハザードマップ

風水害(洪水・高潮)ハザードマップ

洪水・地盤など|ハザードマップから想定できる千代田区の災害リスク

千代田区は、神田川と日本橋川の二つの川を有しています。また、千代田区の地形は、皇居より西側が台地部、東側が低地部に分かれており、エリアによって災害リスクも異なります。 ハザードマップをもとに、想定できる各エリアの災害リスクについて解説します。

千代田区の災害の特徴①洪水について

神田川、日本橋川、墨田川の氾濫(外水氾濫)や、排水処理能力を超えた大雨などによる氾濫(内水氾濫)の発生を想定した千代田区の「洪水ハザードマップ(神田川版)」によると、目白通りより北側の神保町エリアが1m以上の浸水と想定されており、丸の内、日比谷エリアが0.5m以上浸水すると想定されています。「高潮ハザードマップ」の浸水想定エリアも、ほぼ同様です。 荒川の堤防決壊を想定した「洪水ハザードマップ(荒川版)」では、千代田区の東に位置する台東区や中央区からの浸水が想定されており、神田駅周辺や、丸の内、有楽町で0.5m未満の浸水が想定されています。日比谷駅周辺では0.5m以上の浸水が想定されているため、いざというときに慌てないように事前に指定避難所の場所を確認しておきましょう。 荒川の堤防決壊による浸水や、高潮による浸水は、水が長期間ひかないと考えられています。自宅に直接的な被害はなくても、浸水によりライフラインが止まる可能性もあるため、日頃からの備えが重要です。

千代田区の災害の特徴②地盤・地震について

千代田区の低地部である日比谷~大手町エリアは、江戸期以前、「日比谷入り江」という漁場でした。同じ低地部でも「江戸前島」と呼ばれる小さな半島があった神田~飯田橋エリアとは異なり、江戸時代に埋め立てて造成されています。 また、区内に橋の名前がつく地名が多いことからもわかる通り、千代田区は川の多いエリアです。船運の利用も多く生活に欠かせないものでしたが、戦後に多くの川が埋め立てられています。 埋め立て地で心配なのは、地震が起きた際の液状化現象や揺れの大きさではないでしょうか。 東京都都市整備局の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、埋め立てが行われたエリアだけではなく、千代田区の東側のエリアの地盤は地震が起きた際に揺れが増幅されるため比較的危険度が高いとされる「谷底低地」と「沖積低地」に分類され、千代田区の「災害情報マップ」上でも液状化危険度がやや高いと想定されています。地震の危険度が低い「台地」に該当するのは、区内でも皇居から西側のエリアです。 地域危険度一覧表で事前に自身の住んでいるエリアの地盤や危険度を確認し、地震災害に対する備えをしましょう。

千代田区の災害の特徴③その他

千代田区は、津波浸水想定区域の指定を受けていないため、津波ハザードマップは作成されていません。 区内の一部のエリアは、土砂災害警戒区域に指定されています。台風や豪雨などにより、がけ崩れの危険があるため、該当エリアに住む場合は事前に避難所を確認するなど注意が必要です。

千代田区の防災マップ|避難場所・災害リスクの低い場所を確認

千代田区は、地震発生時における延焼火災が少ないと想定されているため、区内全域が避難を必要としない「地区内残留地区」に設定されています。 地震発生時は慌てて建物や家を飛び出すのではなく、自宅やビルなどの建物に留まって安全を確保することが重要です。そのうえで建物の倒壊危険性があるなど避難の必要を感じた場合、区民は避難所を、通勤・通学者は災害時退避場所を利用しましょう。

千代田区の災害対策・防災情報

千代田区で行われている災害対策や防災情報について、解説します。

消防士と消防団員による水防訓練

※画像はあくまでイメージです

災害・防災情報①洪水・風水害

千代田区では、豪雨や大雨による浸水を防ぐための土のうを提供しています。開庁時間は連絡の上で、それ以外の時間や土日は連絡不要で千代田区土木事務所から持っていくことができます。気象情報等を確認し、必要に応じて事前に準備しておくようにしましょう。 千代田区で災害が発生した場合は、速やかに災害対策本部が設置され、消防署や警察署など各種防災関係機関との連携が図られます。連携の確認や強化を目的とし、豪雨や台風が訪れる季節を前に、毎年五月頃区内の消防署や鉄道事業者、国交省などと合同で水防訓練が行われています。

災害・防災情報②地震・津波

「地区内残留地区」に指定されている千代田区は、在宅避難が基本です。そのため、地震発生時の対策として、帰宅困難者対策に力が入れられています。 千代田区は、2011年の東日本大震災以降、より実践的な内容に改めた帰宅困難者対応訓練を実施しています。 また、千代田区内の事業所の従業員向けに、大震災発生時に取るべき行動と事前対策についてまとめたページも公開されています。従業員だけではなく、千代田区在住の区民にとっても有益な情報のため、ぜひ一度ご覧ください。

災害・防災情報③その他

市街地にまとまった雪が降ることで、交通機関のまひや転倒事故が増えることから、大雪時の対応について千代田区ではホームページ上で情報をまとめています。降雪時は、区の職員によって除雪や融雪剤の散布が行われますが、私道や私有地などは地域で協力をして安全な通行確保を行うことが必要です。 このほか、千代田区では、住宅の多くが共同住宅のことから、「防災計画策定支援」「エレベーター非常用備蓄キャビネット配布」などのマンションの防災対策支援を行なっています。

千代田区で個人ができる災害対策・防災への取り組み

千代田区に住んでいる個人が、日常の中で行うことができる災害対策や防災への取り組みについてまとめました。

災害対策①発生前の備え・情報収集

千代田区では、災害発生時は「安全・安心メール」による情報発信のほか、防災無線、防災ラジオによる情報提供が行われます。安全・安心メールは令和3年から多言語(日本語・英語・中国語(簡体字)・韓国語)に対応しています。 また、区内各エリアには総合防災案内板を設置しており、周辺の地図や観光名所とともに、最寄りの避難所等、緊急時に必要な情報が掲載されています。 このほか、X(旧ツイッター)、フェイスブック、LINE公式アカウントからも災害情報が発信されているので、事前にフォローするようにしましょう。

災害対策②地域活動・セミナーなどへの参加

千代田区では、地震などの防災啓発運動の一環として、地震体験車の運行を行っています。区内団体や事業所単位で申し込みを受け付けており、地震の疑似体験を行うことができます。 このほか、地域防災のために、防災士の資格を取得するための費用助成も行われています。興味がある人は、助成の条件等をご確認ください。

千代田区の災害情報を把握して、適切な備え・防災対策をしましょう

千代田区は高層ビルやマンションが多く、昼夜間人口比率の高い街です。皇居を挟んで西側が台地、東側が低地になっているため、エリアによって洪水等の水害リスクが異なります。災害が起こる前に千代田区のハザードマップを確認して、水害や地震に対する備えを行うようにしましょう。 KAUnSELLでは、千代田区に含まれるエリアの災害リスク情報をご用意しております。 下記リンクからご確認ください。

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