中央区の災害リスクとは?洪水・地盤関連のハザードマップなどを解説

2024年01月21日

中央区・日本橋エリアほか

東京ベイエリア

中央区のハザードマップ|災害の種類・リスクの高い場所などを確認

中央区は東京23区のほぼ中心に位置しており、千代田区、港区とともに「都心3区」と呼ばれているエリアです。 エリアの南側が東京湾に面しており、東に隅田川、区内に神田川、日本橋川などの複数の川があります。 このような特徴から、中央区では川の氾濫や、下水道や水路などが溢れる内水氾濫などの水害対策に力を入れています。区のWebサイトでは、想定される浸水の範囲や深さ、および避難所の位置などをまとめた「中央区洪水ハザードマップ」が公開されています。 区内の住戸数の約9割が共同住宅になっており、7割近い世帯が11階以上の高層マンションに居住していることも中央区の特徴です(2020年国勢調査)。

中央区洪水ハザードマップ

中央区洪水ハザードマップ

洪水・地盤など|ハザードマップから想定できる中央区の災害リスク

中央区は、日本橋地区、京橋地区、月島地区の3つに区分されています。それぞれのエリアにおける災害リスクを、ハザードマップや公開されている災害の被害想定などから解説します。

中央区の災害の特徴①洪水について

中央区は、都内でも低地にあたるエリアです。新宿区などの台地にある区に比べ、洪水の危険度は高くなっています。区内で特に標高が低い隅田川沿いのエリア(日本橋浜町、日本橋箱崎町、新川、日本橋茅場町など)が、洪水の危険度が高いと想定されています。 中央区洪水ハザードマップは、「隅田川・神田川・日本橋川版」と「荒川版」の2種類があります。隅田川・神田川・日本橋川版は、河川の氾濫や下水道施設の排水能力を大きく超えた場合の想定マップになっており、荒川版は、荒川の堤防決壊を想定したマップになっています。荒川は堤防の決壊から12時間程度で中央区へ浸水が到達すると想定されており、隅田川・神田川・日本橋川版よりも浸水する危険のある地域が広く想定されています。

区内では、銀座から北西の東京駅や日本橋室町周辺は微高地となっており、洪水のリスクが低いエリアです。 しかし近年は、川の氾濫や排水能力を超えたことで起こる浸水だけではなく、台風や集中豪雨などによる半地下や地下室などへの浸水被害が発生しています。 いざというときに慌てないためにも、事前に地下への浸水被害を防ぐ対策を行ない、避難所の場所や避難経路を確認しておくなどの備えをしておくと安心です。

中央区の災害の特徴②地盤・地震について

現在の中央区の大半のエリアは、江戸に入る以前は「日比谷入り江」と呼ばれる海でした。江戸以降に埋め立てられ、東京港の拡大とともに現在の中央区が完成していきます。 埋め立て地で心配なのは、地震等災害時の建物倒壊に繋がる地盤の弱さではないでしょうか。 東京都都市整備局による「地震に関する地域危険度測定調査」によると、中央区の地盤は比較的地震による危険度が高い「沖積低地」に分類されています。 総合的な危険度を見ると、区内で一番危険度ランクが高い月島3丁目が都内の5192町丁目のなかにおいて319位と位置づけられています。 埋め立て地ではない日本橋地区、京橋地区は危険度が低く、埋め立て地である月島地区は中程度の危険度があると想定されています。埋め立て地のなかでも、明治末期から高度経済成長期に掛けて造成・拡張された晴海地区は、危険度はあまり高くないと考えられています。

中央区の災害の特徴③その他

中央区内には、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域、津波災害特別警戒区域はありません。高潮については、東京都が「高潮浸水想定区域図」を公開しています。 高潮浸水想定区域図によると、中央区では本庁舎周辺が、浸水深5m以上と最も深く、1週間以上浸水が継続するとされています。また、月島地区は全体が浸水すると想定されています。

中央区の防災マップ|避難場所・災害リスクの低い場所を確認

中央区には、災害が起こった際の指定避難所として、防災拠点が23か所、副拠点が6か所設定されています。 これらの指定避難所や防災拠点をまとめた「中央区防災マップ」は、以下のURLで公開されています。マップのほかにも、災害時の被害想定や、地震発生時の活動マニュアルなどのさまざまな防災情報がパンフレットとして公開されているので、いつでも目を通せるように事前にダウンロードや印刷をしておくと安心です。 マンションに住む住民の多い中央区ならではの施策として、マンション住民のための防災対策をまとめたリーフレットも公開されています。 マンションに住んでいる場合、中央区では避難所ではなく自宅で生活を続ける「在宅避難」を推奨しています。これは、多くのマンションが高い耐震性を有しているため、倒壊等の危険が少ないと考えられているからです。 マンション住民は、在宅避難を行うことを前提とした防災対策に取り組みましょう。

中央区の災害対策・防災情報

中央区が行っている、災害対策及び防災に関する情報を紹介します。

災害時避難所

※画像はあくまでイメージです

災害・防災情報①洪水・風水害

大雨・洪水などの水害の恐れがある場合、中央区では水防本部が設置され水防が実施されます。そのため、定期的に中央区・消防署の合同水防訓練も行われています。 個人向けには、浸水被害を防ぐための土のうの配布が行われています。「家庭でできる!大雨対策」などの家庭向けリーフレットも公開されています。

災害・防災情報②地震・津波

中央区では、毎年エリアを変えて、消防隊、自衛隊、警視庁協力の下で総合防災訓練を行っています。令和5年は日本橋地域の浜町運動場を主会場として行われました。 地震で倒壊した建物からの救助訓練や、子供向けの体験コーナーや啓発コーナーもあるので、ぜひ一度参加体験をしてはいかがでしょうか。

災害・防災情報③その他

住宅だけではなく事業所の多い中央区ならではの取り組みとして、事業所の防災対策および帰宅困難者向けの対策を以下のURLで公開しています。

中央区で個人ができる災害対策・防災への取り組み

中央区に住んでいる個人が、日常の中で行うことができる災害対策や防災への取り組みについてまとめました。

災害対策①発生前の備え・情報収集

中央区では、災害発生時は防災行政無線が使用されます。緊急地震速報も行政無線によって発信されます。また、災害情報や防犯情報が配信されるメールサービス「ちゅうおう安全・安心メール」もあり、英語・中国語・韓国語と多言語に対応しています。 このほか、円滑な避難誘導を目的とした「中央区防災マップアプリ」も配信されています。X(旧ツイッター)、フェイスブック、LINE公式アカウントからも災害情報が発信されているので、事前にフォローするようにしましょう。

災害対策②地域活動・セミナーなどへの参加

中央区では、防災のプロである講師を招いて防災講演会が行われています。令和4年度は「都心部×帰宅困難者」をテーマに、事業所における防災力向上や、帰宅困難者対策についての講義が行われました。 このほか、区に依頼をすることで、マンション単位で防災訓練を行うことが可能です。子育て世代が参加しやすいように、ゲーム感覚で防災を学べるプログラムや、機材の貸し出しを行っています。 防災に関する知識を身に着けることはもちろん、日頃から地域で連携を行うことが防災においては非常に重要です。区が提供するプログラム等を利用して、防災意識を高めてみてはいかがでしょうか。

中央区の災害情報を把握して、適切な備え・防災対策をしましょう

中央区のほとんどが低地に位置し、埋め立てによって造成されているため、地震の総合危険度が高いとされるエリアもあります。災害が起こる前に中央区のハザードマップを確認して、水害や地震に対する備えを行うようにしましょう。 KAUnSELLでは、中央区に含まれるエリアの災害リスク情報をご用意しております。 下記リンクからご確認ください。

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